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手がかりは全国労働組合総連合(全労連)パート・臨時労組連絡会が実施した『パート・臨時などではたらくみんなの実態アンケート調査』(二○○二年)だ。
たとえば一○代、二○代は「ほかに自分のやりたいことがしたい」「勤務時間・勤務日を選べる」などの理由でパート、アルバイトなどの仕事を選ぶ人の比率が、他の年代に比べて比較的高い。
三○代以上だと、そうした理由は後退し、「生活の維持」が「正社員の仕事がなかった」と並んで上位を占める。
中高年男性は、安定した仕事に就きたいが、それができないのでやむを得ずパート、アルバイトの仕事をしているという姿が浮かび上がる。
むろん二○代、三○代も、「ほかに自分のやりたいことがしたい」などの理由は、他の世代に比べると高いというだけの話である。
この年代でパートなどを選択した理由には、やはり「生活の維持」が上位にランクされている。
採用時の雇用契約はどうなっているのだろう。
パート、アルバイトといえども、企業は、人を採用する際には、書面による労働条件の提示をしなければならない。
四○〜六○代の半数は、書面で労働条件を提示されたと答えている。
一方、一○〜二○代に流されて、いつか中高年は雇用にあたっての労働条件の明示が不明確で、「特別に何もなかった」「よく覚えていない」若者が五人に一人くらいいる。
賃金などの労働条件は文書で示すよう規定した労働基準法に違反する企業が、とくに若い人に対して多いということになる。
中高年に多いのは、雇用期間に定めがある有期雇用での契約だ。
五○代、六○代は六割弱が有期雇用契約である。
若い人も労働基準法に沿った雇用契約をしていない不安があるが、生活を安定させたい中高年も働く期間に定めがあり、契約を更新されないのではないかという不安を抱えながら仕事に向き合うことになる。
有給休暇については、労働基準法はどう定めているのだろう。
六カ月間の継続勤務全労働日の八割以上出勤という条件を満たした人には、有給休暇を与えなければならないと規定している。
有給休暇日数は、正社員と短時間勤務の非正社員とでは異なるが、全労連パート・臨時労組連絡会ではそうした点までは条件にせず、とにかく六カ月以上勤務している人を対象に調査をおこなった。
その結果、全体では、有給休暇が「ない」という答えが四三・四%と半数近くを占めた。
そう答えたのは若い世代に多く、四、五○代は「ない」との答えは二割台。
「ほぼ取れる」と答えた人は、全体では二二・五%だった。
中高年フリーターたちの心情が如実に現れているのが、この調査に寄せられた自由回答である。
その一部を紹介すると「正社員になりたい。
正社員といっしょに〔仕事を〕やりたい」(五○代男性)「再契約できるか、不安」(四○代)「一年ごとの契約更新をくりかえし、仕事をしています。
常に切られるのではないかといボーナスや退職金は、支払われているのだろうか。
事業主の裁量に任される退職金の制度が「ない」という答えが、六四・二%を占めた。
賞与についても、支給されない人が過半数を占めている。
どちらも、払わなくてもいいというわけではない。
厚生労働省が出した「短時間労働者の雇用管理改善に関する指針」では、賃金だけではなく賞与、退職金も就業の実態や通常の労働者との「均衡」を考慮して定めるよう努めなさいと規定している。
処遇は正社員とのバランスを考えて、ということだが、そうはおこなわれていない現実が、この調査から浮き彫りになる。
ここでは非正規労働者として働く中高年男性の処遇を中心に、調査結果から現状を浮き彫りにしてきたが、中高年女性の場合も、ほぼ似たような結果だった流されて、いつか中高年男性のあせりが見えてくるだろう。
その屈辱感は相当なものである。
自由回答に漂う切実感は、そんな中高年男性どの自由回答にも、生活の安定がほしいという切実感があふれている。
最後の「予算の計画が、早く末端にまで伝わってほしい」という意味は定かではないが、おそらく一年を通じ理の反映なのかもしれない。
う不安を持っています。
「雇用の定めのない労働者になりたいと思います」(三○代)仕事があったら、ということなのだろう。
「土木、建設の仕事をしています」。
公共事業は年度末〔三月末〕までに終了させる仕事が多い。
夏から秋初旬にかけては、仕事がなくなってしまう。
予算の計画が、早く末端にまで伝える。
「男は稼いで人前」というジェンダー神話が強い日本では、経済から疎外されたときの自分がぼくなる兼任講師をしていたある大学の、学生の期末レポートを読んでいたら、就職の面接を受けてきたらしい女子学生の、次のような趣旨の文章に出会った。
ちなみにレポートのテーマは、ワーク・ライフ・バランス(仕事と私生活の両立)をどう達成するか、だった。
「……人材派遣会社の二次面接で、面接担当の女性社員に、育児休業制度はありますかと聞いたら、『うちはないです。
毎日残業で忙しいし、とても育休を取れる状況じゃない』と言われた。
さらに『妊娠したら、どうしますか』と聞くと、『う−ん、辞めると思うよ』という返事だった。
三次面接には役員が出てきたので、残業について聞いたら『うちは、残業は強制していません。
残業は自己判断、自己責任です』と一口。
若い社員にそのことを尋ねると、『八時半出社、終電帰りは日常茶飯事』という返事が返ってきた。
これでは少子化は止まらないはずだと思った。
正社員って本当にすばらしいのかこのような就職の際の面接情報などを通じて、若い人たちは正社員として働くことの厳しさを知ってしまうのである。
「生活の安定のためには正社員になりたいが、仕事が普通じゃないから」と、二の足を踏んでしまうのである。
あえてフリーターを選ぶのは、正社員になりたいけれどなれない、パラサイトさせてくれる親がいるなどに加え、正社員になったら自由になる時間が持てないという、半ば恐怖感に近いような拒否反応が作用するからだ。
中高年フリーターたちにも、正社員になりたいという声が圧倒的だが、では正社員とはそんな待望論にこたえるに足る処遇を受ける身分なのだろうか。
この問いへの考察を深める前に、日本が世界でも上位にランクされつつある自殺問題について考えてみたい。
人口一○万に対して、どれくらいの人が自殺しているかを表した数字を自殺率と言う。
この数字が九○年代後半から、欧米先進国と比較するとずいぶん高くなってWHO(世界保健機構)のデータ三○○四年)では、自殺率が高い国の上位に並ぶのはリトア二ア、ロシア、ベラルーシ、ウクライナといった旧社会主義の国々だ。
トップのリトアニアの場合、人口一○万に対し、四四人が自殺している。
これらの国々は、急激な政治体制や価値観の変化のなかで、それに対応できない人たちがみずから命を絶つなどしていると予想できる。
日本の自殺率はどうかといえば、二四人で、世界第一○位。
なお、九位まではほとんど旧ソ連の国々だ。
九○年代半ばまでは、日本のそれは一七、八人くらいで、西欧先進国と肩を並べていたが、二○○○年以降、日本だけが突き抜けてしまった。
実数で言うと、日本は毎年三万人以上の人々がみずから命を絶ち、しかもその多くは中高年の男性たちである。
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